ロービジョンケアについて

ロービジョンケアについて
(見えにくいことであきらめてはいませんか?)

   最近の眼科医療の進歩は、たいへん目覚しいものがあります。特に白内障手術や硝子体手術の飛躍的進歩が挙げられ、より安全に手術が出来るようになりました。また、新しい点眼薬の開発など、以前とは比べられないほど治療成績は格段に進歩しています。
   しかしながら現実には、懸命な治療にもかかわらず失明に至る患者さんや、低視覚に陥る患者さんが全くいなくなったわけではありません。網膜色素変性症や遺伝性視神経萎縮など、いまだ治療法方が確立されていない疾患も多くあります。産科の進歩で極小未熟児の生存率は高くなりました。しかしその合併症である未熟児網膜症や、高齢化に伴う加齢黄班変性症は依然として増えており、失明原因の上位を占めています。緑内障や糖尿病網膜症に至っては、中途失明の第1位と第2位に挙げられ、治療をしても視機能が回復できない状態に至る患者さんがいらっしゃることも事実です。 
   そんな中で最近ロービジョンケアの重要性が叫ばれています。ロービジョンケアとは、最新の医療技術を駆使して適切な治療を行ってもやはり視覚障害が残り、低視覚に陥った患者さんに対し、今持っている視機能を最大限に活用して、視覚的な生活の質の向上を目指す方法です。
視覚障害とは低視力(見えにくさ)、視野障害(見える範囲が狭い、中心部が見えない)、羞明(眩しさ)などの障害をさします。
   通常、眼科では一般に病気の診断、治療を目的にしますが、ロービジョンケアではその患者さんが何をしたいのか、何が困っているのか、そしてそれを少しでも解決する為には何が必要かを考え、実践していきます。具体的にはロービジョン用の問診表で、現在困っていることや、何がしたいのかをある程度把握して、さらに生活全般に置ける障害の程度とニーズを患者さんといっしょに確認していきます。次に低視力の患者さんは、自分の見え方を十分に把握してないことがあり、自分の見え方を知るための検査をします。視野検査を参考に、どの部分が見やすい所かどの方向がみえやすいか確認します。中心部が見えないのか、見える範囲が狭いのかによって違ってきますが、眼球運動訓練や偏心固視訓練、読字、書字の訓練をします。また、自分の見え方を他者に伝える工夫やコーチング的な手法でモチベーションの向上を目指します。必要に応じて学校や職業訓練校の選択や福祉施設、福祉サービス、ロービジョンエイドと呼ばれる便利グッズなどの情報提供を行います。低視力に対しては、光学的補助具の選択として、眼鏡処方、ルーペ(近くを拡大してみるレンズ)(写真1、2)、単眼鏡(遠くを拡大してみるレンズ)(写真3)、拡大読書機(テレビモニターに文字や写真などを拡大して写せる機械)(4)などの使い方や機種選定などを行い、視覚の質の向上をめざします。また、まぶしさへの対応として、遮光眼鏡(写真5)の選択と処方を行います。もちろん障害の程度や性格や生活習慣やその人を取り巻く環境など、ひとりひとり違うようにケアの仕方もひとりひとり違うものです。そして、眼科で身体障害の視覚障害者手帳の申請をきちんとしてもらう事で、拡大読書機は視覚障害6級から、無償で市町村から支給されます。更に1、2級ではルーペなどの便利な補助具の支給もあります。
   視機能について悩んでいる皆さん!年だからとか、どうせ治らないからとか言ってあきらめてはいませんか?。一度失った視機能を回復するのは難しいかも知れません。でも今、あなたが保有しいる失われていない部分を上手く活用して生活できていますか?まずは眼科医に助けを求め、少しでも視覚障害に伴う生活の質を改善する努力をしてみてください。
   なおロービジョンケアは特殊外来で、すべての眼科で行ってはいません。また、ロービジョンケアをしてい眼科でも、種々の症例により時間がかかるため、予約制を取っている病院もあります。まずは事前に電話をして確かめてから、受診することをお勧めします。

てるや眼科クリニック   照屋武

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